リリース

夜光虫

─ 追憶 ─
東京アンダーグラウンドシーンで15年以上の活動歴を誇るサイケデリック・ロック・バンド夜光虫の2ndアルバム。90年代の地下音楽界では音のカラフルさよりも精神性の深みにハマる暗黒世界しかサイケデリックと認めない偏狭な思想が幅を利かせていたが、四半世紀が過ぎた現在、ただ狂気のみを追い求める必要も意味も消失した。円香の無表情なヴォーカルをギミック味のあるレトロな楽器で包み込み夜光虫の極彩色の音世界は、混迷の度合いを増す現実世界から心を解放してくれる祝福に満ちている。(剛田武)

Hyozo

─ 野流 ─
フェンダー・ローズの揺らぎが聴き手の聴覚にさざ波を起こし魂が無重力空間に彷徨いだす。アンビエントという一言では到底語り切れない無限の拡がりを内包した音の波。野流とはHyozoを中心とする不特定多数音遊び集団の名称だが、同じタイトルが付されたこのソロ・アルバムは野流の源流であるとともに、そこから枝分かれする支流のひとつでもある。無数の支流が音の海に流れ込み、水蒸気から雲が生まれ、音の粒が雨となって降り注ぎ、再び野流の水源となる。終わりのない音の輪廻がここにある。(剛田武)

Aniki Tomonori

─ Psychedelic Folk Man ─
高円寺や新宿の路上で愛される名物的存在、通称アニキ。魂のパフォーマー、サイケデリックフォークマン、ヤバい人、等々、彼を称する言葉は数多くあるが、彼が世界に伝えようとしているのは純度100%のポジティブバイブス。
OTOlabのNacky Ishikuraの手によるホーンやキーボードのアレンジでスケール感を増した楽曲たち。特に「穴の空いた脳ミソ」はP-Modelさえ想起させる徹底したテクノアレンジが凄まじい。街角のフォークと奇想のエンジニアの出会い。
─ 3 years on the stone ─
Pop punkな「飛んでいる飛んでいく」ではどうしてもハジけたオルガンソロに耳がいってしまうが、やはりアルバムを通して主役は圧倒的なポジティブバイブスを発するアニキの歌声。「飛行機雲」ではどっしりとしたリズムの上でパンフルートのオリエンタルな響き、バリトンサックスの深みのある音色やフィールドレコーディングが織り交ぜられ、アニキのトランペットも冴える。「wonderful time」は間違いなく高円寺のアンセム。
前作よりも音色の豊富さ、曲想の豊富さ、ヴォーカルの自信全てがスケールアップした意欲作。前作同様OTOlabのNacky Ishikuraが奇想なるアレンジ、演奏、エンジニアリングで全面参加。